人を苦しめるのは痛み、痛みのメカニズムと原因とは
痛みとは、
実質的あるいは潜在的な組織損傷に結びつく、あるいはそのような損傷を表す言葉を使って表現される不快な感覚・情動体験(国際疼痛学会,1986)
と定義されています。
人にとって痛みとは邪魔者でしかありませんが、痛みを感じるからこそ大きな危険を回避できています。
痛みは人にとってなくてはならない存在なのです。ですが、そんな痛みは様々な問題を引き起こす原因にもなりうるので、痛みに対しての基本的な知識を身につけ適切に対処していきましょう。
1.痛みとは?
痛みとは、
- 感覚的側面
- 情動的側面
- 認知的側面
を含む多面性を持っている。単に1つの種類だけではありません。
さらに
- 急性痛
- 慢性痛
に分けられます。前者は擦り傷などの組織に損傷を伴った場合です。後者は原因が明確でなく認知や情動的な側面に歪みが生じると起こるとされています。
ここで、問題となり厄介となるのは慢性痛というものです。急性痛は時間の経過とともに徐々に消えていきます。
しかし、慢性痛は3ヶ月以上持続する痛みのことです。原因がはっきりせず、対処がしにくい痛みとなっているので痛みが長期化しやすくなります。
慢性痛に悩まれている方は、『認知』と『情動』、取り巻く社会的な環境までも変えていく必要があります。
2.慢性痛の対処方法とは?
急性痛、慢性痛であっても脳で認知されて痛みと感じるようになります。
慢性痛では特に、この歪んだ認知や情動処理によって引き起こされる病的な痛みであると言われています。
対処するにはこの脳での認知を変えなければならないということです。
慢性痛の主な原因となるのは
『炎症や末梢組織からの過剰な刺激入力』
『固定や不活動などの末梢からの刺激入力の減少』
といわれています。
例えば、何かで腰を痛めたとします。最初は腰の炎症によって痛みが引き起こされます。その炎症が長引いたり、過剰に痛みを気にすることで痛みを感じ取りやすくなってしまったり、痛みを引き起こさないために動かずにじっとしていたりすると慢性痛に移行してしまうケースが多くなります。
どちらにせよ、脳で痛みを過剰に認知してしまうようになるのです。認知されれば、身体は痛みを引き起こします。
よって、慢性痛を引き起こさないためには、
痛みを極度に気にしすぎないこと
怪我をしても運動や活動量を維持させること
が痛みに対して非常に有効な対処法となります。どう痛みを認知するかが重要です。
痛いとじっと安静にすることを求められますが、他のことに集中できるようにして脳での認知を変更させることで、痛みの慢性化を防ぎましょう。
3.一番怖いのは痛みの悪循環
痛みの悪循環を示す病体モデルとして知られている『恐怖ー回避モデル』というものがあります。
痛みがひとたび生じた時に、回復へ向かうか、負のスパイラルに陥り痛みを増悪、持続させるかに分かれていきます。
この重要な帰路となるのは
痛みを消極的、破局的に捉え思考する疼痛認知の極端な偏りや歪みです。
この思考パターンを持っている人は、この疼痛の悪循環に陥りやすいため注意が必要です。
このような思考パターンに陥ると抜け出すことが大変になってしまいます。重要な分岐点で負のスパイラルに陥らないためにも、痛みを誤って認知することを防ぎましょう!