スポーツ中に起こったその腰痛は、脊椎分離症かもしれません。
皆さんは『脊椎分離症』という名前の疾患を知っていますか?
もしかすると、スポーツをやっていた方は一度は聞いた事があるかもしれません。
それくらいスポーツ活動で多い疾患です。
私も仕事で部活をやっている学生を担当する機会が多いですが、脊柱分離症の学生は多いように感じます。この疾患にかかると酷い方は手術が必要になったり、痛みが強く満足に部活をできなくなってしまいます。リハビリも長くなってしまう可能性も大です!
自分の選手生命を長くするためにも、事前に基礎的な知識を持って怪我予防に努めましょう!
⚠︎こんな人にオススメ!
・スポーツ中に怪我をしたくない人!
・最近、腰の痛みが気になっている人!
・脊椎分離症を初めて聞いた人!
1.脊椎分離症の簡単な特徴!
❶好発
スポーツ活動が多い10歳代の男性
❷症状
腰から臀部、太腿の後ろに痛み
足への放散痛、感覚障害、神経性間欠跛行(神経症状で上手く歩けなくなる)
背部の圧痛、叩打痛
体を後ろに反らすと痛みが増悪する
体を後側屈させると放散痛が誘発される(Kemp徴候)
❸治療
保存療法 コルセットや体幹ギプスによる固定や運動制限
薬物療法 薬物療法、分離部のブロック療法などの対症療法
手術療法 分離部修復術、椎体間固定術、除圧術など
2.概要
脊椎分離症の主な原因は、成長期の過剰なスポーツ活動による背中の骨の疲労骨折です。
椎弓と呼ばれる部分に亀裂が入り、骨折・分離してしまう事で積み木になった部分の支持性が低下してしまいます。
脊髄を包んだ骨の部分なので、分離した部分が滑って脊髄に接触してしまうと神経症状が現れてしまうのです。また、髄膜炎や腰痛を引き起こしたりもします。
発生頻度に人種差や家族集積性が認められることからも遺伝的な要因も大きく関与しているのではないかと言われています。
そのため家族で誰かしら分離症を起こしている方は注意が必要ですよ!
そして、分離症を引き起こす主な原因とされているのは疲労骨折であることから、力学的な負荷が腰椎の一部分にかかり続けている事が挙げられます。
よって、腰椎に負荷をかけ続けている動きを変える必要があるという事です。
主に、体を後ろに反らす運動や体を捻る運動で腰椎部分に負荷がかかりやすくなるので、これらの動きは極力抑えておいた方が良さそうです。
何にせよ分離症は早期発見、早期治療が非常に大切となるのでもし運動中に腰に違和感がある人は速やかに近くの医療機関への受診を勧めます。手遅れになってしまうと治療も長引き、手術をしなければならない状態になってしまうかもしれません。
●分離症はスポーツで起こる疲労骨折のこと!
●体を後ろに反らす運動や体を捻る運動で発症しやすい!
●早期発見、早期治療が重要!
3.リハビリによる再発予防!
分離症は装具や、安静によって完治させる事ができますが、その怪我は治ったとしてもまた振り返してしまう可能性があります。
疲労骨折を引き起こすような動き方が分離症を引き起こしているので、根本の部分をしっかり治療しなければ完治とは言えないでしょう!
分離症の治療中は、骨癒合と痛くない動きを導く事が必要です。
治療中であって運動休止中であっても腰以外のパフォーマンスをできるだけ落とさない事が非常に大切です。運動休止中に完全に休んでいたら全身の筋力低下を引き起こし競技復帰まで多大な時間を要することになってしまうでしょう。
それだけは是非避けていただきたいと私は思います。
全員が全員同じ要因で発症するわけではないので、これをやれば大丈夫といった運動はありませんが、これだけはやって置いて損がない運動をお伝えします。
それは、股関節のストレッチです!
股関節をうまく使う事ができない子供たちは怪我が多いように感じます。
股関節は身体の中でも大きな可動域を持った関節になるので、過剰な腰の動きを股関節で上手く補償する事ができれば腰への負担を大きく減らす事ができます。
股関節の使い方を極める事ができれば分離症の再発を予防できるはずです!
●分離症の再発を予防するなら股関節の使い方を極めよう!!
|
参考図書② 病気がみえる11 運動器・整形外科