今回は足関節の運動学についてまとめていきます。
足部は床反力を一番最初に受ける部位なので、身体に大きな影響を与える部位になります。
そのため、市販でインソールが売られていたり、アメリカでは足病医学と呼ばれる足の学問があり、足の専門医も存在したりしています。
それくらい人間にとって重要な部位だということですね!
足関節は深く考えると難しくなってくるので、意外と単純な動きでまとめてしまいがちですが、今回はこの複雑な構造や動きを少しでも理解できればと思います。
一緒に足関節の知識をまとめていきましょう!!
1.足関節の構造と動き
足関節は前足部と後足部に分けることができ、ショパール関節がちょうど別れ目になります。(米国足病医学より)
後足部は距骨と踵骨で構成され、前足部は舟状骨と立方骨より遠位の骨で構成されます。
基本的に前足部と後足部でそれぞれの動きが作られ、足部としての動きが生成されます。
なので、後足部と前足部がそれぞれどのように動くかを理解することは非常に大切となります。
動きはかなり細かくなるので、足関節の骨模型を実際に動かしながら勉強できるとより一層理解度は増してくるかと思います。
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2.後足部の動きについて!
後足部は前述しましたが、距骨と踵骨からなる部位のことです。
後足部には距骨と下腿骨から作られる距腿関節と距骨と踵骨からなる距骨下関節が存在しています。
距腿関節は基本的に背屈、底屈の運動を作ります。
構造の特徴は、足関節窩がほぞ穴構造となっていることです。
脛骨と腓骨によって作られるほぞ穴に距骨がピッタリとはまり込む構造になっているのです。
そのため、関節として非常に安定性が高くなっているということが分かりますね!
また、距骨の関節面は台形状になっており、距骨前面の方が後部よりも5〜6mm広くなっています。
そうなると、距腿関節が底屈した時は関節面が小さくなるので関節窩にゆとりができるので関節して安定性が低くなります。
逆に背屈した時は関節面が大きくなり、関節窩が広がることで締まりが良くなるので関節として安定性が高くなります。
次に距骨下関節についてです。
距骨下関節は距骨と踵骨で形成され、3平面運動をし、可動性が少ない強固な関節です。
踵骨に前・中・後の3つの関節面をもっており、骨間靭帯(距踵靭帯)を中心に結合組織に囲まれています。
そのため、はまり込みがしっかりしている上に靭帯による安定性も付与されており、かなり強固な関節となっているのです。
動きは回内と回外の運動を作ります。
骨で動きをみると、
回内では距骨が底屈+内転、踵骨が外反します。
回外では距骨が背屈+外転、踵骨は内反します。
細かくみていくとこんな動きを伴っています。
●距腿関節はほぞ穴構造で背屈で安定し、底屈で緩くなる!
●距骨下関節は可動性少ない強固な関節である!
3.前足部の動きについて!
前足部とは舟状骨と立方骨より遠位の骨で構成され、後足部と連動して動くことが多いのが前足部です。
前足部で重要な関節は横足根関節と第1列(母指)と第5列(小指)です!
第1列と第5列はリスフラン関節より遠位にある基節骨からの繋がりのことです。
まず横足根関節とはショパール関節とも呼ばれ、細かく分けると距舟関節と踵立方関節に分けられます。
距舟関節は距骨と舟状骨によって作られ、球関節のような形になっているので比較的動く構造になってます。
比べて踵立方関節は踵骨と立方骨で作られ、鞍関節のような形になっているので比較的動きにくい構造になってます。
横足根関節の運動軸は距舟関節の縦軸と踵立方関節の斜軸に分けられます。
縦軸は踵骨から1列に向かって伸びる軸に則って運動するため、内反か外反かの動きに分けられます。
つまり舟状骨が串刺しをされるような形で回転し、底面が内側を向くか、外側を向くかのどちらかに動き増す。
斜軸は舟状骨から踵骨に向かって斜め下に向かって伸びる軸に則って運動するため、背屈+外転か底屈+内転かの動きに分けられます。
立方骨が斜軸を軸に動いていくのです。
これらの動きは対になって動くので、縦軸で内反した場合、斜軸は背屈+外転という動きをします。
縦軸で内反するということは舟状骨の底面が内側を向くということであり、内側が上に上がって外側が下に下がるような形になりますよね?
そうなると立方骨は相対的に考えて背屈しながら外転するような動きになります。
言葉の説明だけだと理解が難しいという方は、骨模型を動かしながら確認できると分かりやすいですよ!
また、横足根関節は縦アーチと密接な関係があり、横足根関節が内反・背屈・外転すると内側縦アーチが低下し、剛性が低下します。
逆に外反・底屈・内転すると内側縦アーチが上昇し、剛性が上昇します。
とにかく舟状骨が内側縦アーチのポイントとなっているので、舟状骨が沈む形になると内側縦アーチが低くなってしまうのです。
足部は床反力を一番最初に受ける部位なので、衝撃を上手く吸収できるか、上手く利用できるかが非常に大切になります。
そのため、足部の剛性を柔軟に変えられないと足部のしての役割を果たしにくくなってしまいます。
剛性がずっと低くても、足部が緩すぎて怪我をしてしまうし、剛性がずっと高くても、足部が硬すぎて怪我をしてしまうのです。
そして、踵立方関節は縦軸の外反によって骨性ロックが働きます。
これは舟状骨が外反すると立方骨は底屈と内転をするのですがこうなると骨としてはまり込みが強くなり、骨的に安定するのです。
骨性ロックが生じることで、より剛性を高めることができるのです。
立脚後期では足部の剛性を高め、前方への推進力を高めますが、距骨下関節の回外による剛性強化に加えて、踵立方関節の骨性ロックが加わり、さらに強固に固められます。
よって、縦アーチを維持したまま体重以上の負荷に耐えながら推進力を強化できているのです。
踵骨立方関節が硬すぎたり、柔らかすぎたりすると骨性ロックが生じるタイミングにずれが生じるので、結果的に足部構造を破綻させるような負荷を加えてしまうことがあるので注意です。
●横足根関節は縦軸と斜軸の2つの運動軸がある!
●内側縦アーチと深い関係がある!
●距舟関節の縦軸は内反、外反方向に動き、踵立方関節の斜軸は背屈+外転、底屈+内転方向に動く!
●踵立方関節の外反骨性ロックと呼ばれる足部の剛性を高める重要な役割がある!
続いて第1列と第5列についてです。
第1列と第5列は足部の横アーチを構成しています。
横アーチの役割は
・体重の分散とバランス
・衝撃吸収
・推進力アップ
といわれています。
横アーチが潰れると開張足と呼ばれ、べちゃっと潰れた足になってしまいます。
開張足となると母趾が内側を向くような形となるので外反母趾になりやすくなるといわれています。
第1列は
背屈+内転+内反
底屈+外転+外反
第5列は
背屈+外転+外反
底屈+内転+内反
のように動きます。
例えば1列が背屈+内転+内反のように動くと、第5列は背屈+外転+外反のように動き、横アーチは低下します。
Uの字のように下に凸ができるように動きますね。
逆も然りで、逆Uの字のように上に凸ができるように動き、丸まっていきます。
言葉で覚えるより、なんとなくどのように動くのかは把握しておきたいですね!
●第1列と第5列によって横アーチが構成される!
●第1列は背屈+内転+内反/底屈+外転+外反、第5列は背屈+外転+外反/底屈+内転+内反で動く!
細かすぎて難しいな!
4.後足部と前足部の連動まとめ!
後足部と前足部には運動連鎖によって切って切り離せない動きの連動があります!
前章で述べたことをまとめながら、足部の運動連鎖を確認していきましょう。
距骨下関節が運動連鎖のスイッチ役を担っており、距骨下関節がどう動くかで全ての関節の動きが決まってきます。
距骨下回内セット
❶距骨下関節
距骨 底屈+内転
踵骨 外反
❷横足根関節
距舟関節 内反
踵立方関節 背屈+外転
❸第1列と第5列
第1列 背屈+内転+内反
第5列 背屈+外転+外反
距骨下関節回外セット
❶距骨下関節
距骨 背屈+外転
踵骨 内反
❷横足根関節
距舟関節 外反
踵立方関節 底屈+内転
❸第1列と第5列
第1列 底屈+外転+外反
第5列 底屈+内転+内反
基本的に距骨下関節回内セットは縦アーチ、横アーチが低下し足部の剛性が低下するため、IC〜LRまでの衝撃吸収が必要なる場面でで働き、TSt〜PSwまでの推進力が必要になる場面で働きます。
今まで足部の動きに関して、抽象的になってた知識がより具体的に理解できるようになれば、足部への介入はよりレベルアップした介入ができるようになるでしょう!
お互い頑張って勉強していきましょう!
参考図書はこちら↓↓
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