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【理学療法士向け】意外と忘れがち!?骨盤と股関節の機能解剖学!

今回は意外と忘れがちな骨盤と股関節の機能解剖学についてまとめてみました.

臨床の場で担当する機会が多い股関節ですが、ご存知の通り股関節は骨盤と切っても切れない重要な関係性がありますよね!

詳しく股関節を見ていくと意外と複雑な構造になっていて、まだまだ知らない情報もあるかもしれません.

この記事を見て、知っている内容を復習できてもいいですし、もし知らない情報があれば自分の知識として臨床で活かしていただけると嬉しいです.

こんな人にオススメ!

・股関節の内容を復習したい!
・股関節の患者さんで治療に難渋している!

健康くん
健康くん
股関節って知ってるようで知らないよね!
深く考えたことなかったかも!

1.骨盤と股関節について!

股関節は骨盤の臼蓋と大腿骨頭からなる自由度3の球関節です.

人体における最大の荷重関節として強固な支持性を持っているため大きな負荷であっても耐えうる構造になっています.

人の股関節は他の哺乳類に比べて独特な特徴を持っているという特徴があります.

他の哺乳類は基本4足歩行です.
股関節としては常に屈曲位だということが分かりますね!

それに比べて人は進化の過程で股関節が伸展することで直立2足歩行が可能となっています.
股関節が伸展することで重力や慣性力を上手く利用しながらエネルギー消費の少ない優れた移動様式を獲得することができました.

人だけが股関節、膝関節が完全伸展した状態で下肢の上に体幹と頭部が鉛直に乗っかった構造になっているのです.

このように安定した支持性と、様々な運動範囲を併せ持ち、両立させてきた機能を持つ関節は股関節だけであるといわれています.

また、股関節と関節を成している骨盤についてですが、骨盤も進化の過程で形を変化させてきたといわれています.

人の骨盤はお椀状に横に広がっていますよね.
チンパンジーの骨盤は上から覗き込むと筒状に見えますが、人の骨盤は上から覗き込むと楕円状に広がったお椀状に見えるのです.

これはなぜ横に広がっているか分かりますか?

先ほど説明した通り、人は直立歩行で移動する動物です.

そう考えると4足歩行の動物に比べると直立歩行の人は常に骨盤に向かって下に重力がかかることが分かります.

重力によって下に下がりやすくなるのは内臓です.

人の骨盤はこの内臓が下がりにくくなるように受け止める役割を果たさなければならなくなります.

すると横に広がって発達してきたことに納得できますね!

また骨盤は適度に前傾することで腰椎に生理的前弯が生じ、上半身が若干後方に移動することで重心が股関節の直上に位置するようになります.

それによって重たい頭と体幹をより少ないエネルギーで姿勢保持することができます.

普段何気なく姿勢を確認していますが、その姿勢をとっている理由にこんなことがあったんですね!

 

●股関節は支持性と可動性を併せ持った唯一の関節!
●骨盤は直立歩行に対応するためにお椀状に独自の進化を遂げた!
●骨盤と股関節の位置関係は支持性において効率的な姿勢である!

 

2.股関節の安定性を補う関節構造体!

先ほど説明したように人の股関節は常に伸展位に近い形をとっています.

常に伸展位となることでどうしても大腿骨の骨頭被覆度は減少してしまい、前方へ対する不安定性も生じてしまいます.

こういった不安定性を補うための関節構造体である関節包や靭帯や関節唇が発達しています!

ますは骨頭被覆度の減少を補うために関節包の存在です.

骨盤臼蓋側から関節唇周囲の寛骨臼縁及び臼蓋横靭帯に付着しています.

前面は頸部全体を覆っていますが、後面は1横指近位部に付着しているので頸部全体を覆ってはいません!

前方への不安定性が強い股関節を上手く関節包が補っているということができますね.

関節包の繊維は頸部に巻き付くように裏打ちしていて、ロッキングリングのように頸部を締めることで牽引に対する制動因子として働いているようです.

いわば、風船のような構造です.

先の方が丸まっているので、締める力が強くなります.

また靭帯は屈曲位で緩み、伸展位で絞った雑巾のように捻れて骨頭を臼蓋に引きつけるように働きます.

これは靭帯が螺旋状に捻れるように股関節の周りを取り巻いているからです.

健康くん
健康くん
股関節ってこんな複雑な構造で安定してたんだ!
これは靭帯や関節包が緩んでしまったら大変だ!

関節の受け皿を広くさせる役割を持つ関節唇ですが、股関節ではこんな働き方をしています!

関節唇は関節の内側と外側を密封させることで最小限の関節液で関節内を安定させる役割があります.

関節唇がなければ、関節腔が広がり、関節内を満たさなければならない関節液の量が多くなってしまうということですね.

円滑な関節運動や圧分散、関節軟骨への栄養補給を行う関節液を効率よく働かせるためにも超重要な働きをしてくれています.

関節唇は損傷されるとこれらの効果を失ってしまうので、股関節安定性低下、関節軟骨へのダメージ増大などを引き起こす要因となります.

不健康くん
不健康くん
股関節の患者さんを見るときは関節構造体の状態にも目を向けないと、良くなっていかないかもな!

●股関節には関節構造体(関節包、靭帯、関節唇)が安定性を補う!
●関節包は前方が特に発達している!
●靭帯は屈曲位で緩み、伸展位で緊張する!
●関節唇は関節液を効率良く働かせる役割がある!

 

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