現代日本では、社会の急速な変化により、便利に満ち溢れることで多くの人が幸福感を得にくい状況にあるといわれています。
低成長経済、格差社会、そして少子高齢化。
こうした背景の中で「どうすれば幸福を感じられるのか?」という問いは、より重要なテーマとなっています。
奈良雅弘氏による論文「幸福力〜非成長社会を生き抜く思考技術の探究」では、幸福感を高める能力、「幸福力」について深く考察されています。
本記事では、この論文のポイントをわかりやすくまとめ、日々の生活に役立てる方法をご紹介します。
1.幸福とは何か?
幸福という言葉は、感情と事実の2つの要素を含むと考えられています。
幸福感(感情)は、特定の事実(状況や出来事)によって引き起こされます。
しかし、その背景には「内的プロセス」、つまり私たちがその事実をどう評価し、解釈するかという視点が欠かせません。
幸福感を感じるかどうかは、事実そのものだけでなく、それをどのように認知するかに大きく依存しているのです。
2.幸福感を生む3つの要因
幸福感は、以下のような要因によって生まれると考えられます。
1.物質的な欲求の充足
•食べ物、安全、住居など、生理的・安全欲求が満たされること。
2.対人欲求の充足
•家族や友人からの愛、周囲からの承認が得られること。
3.自己実現欲求の充足
•自分の能力を発揮し、理想の自分に近づいていると感じられること。
これらの要因が多ければ多いほど、幸福感が生まれやすくなります。
ただし、全ての人が同じ事実に対して同じ幸福感を感じるわけではなく、個人の欲求や評価の仕方によって結果が異なります。
3.幸福力を高める2つのアプローチ
奈良氏は、幸福力を以下の2つの能力に分けて考察しています。
1.事実を実現する力
•欲求を満たすために必要な状況や事実を手に入れる力(例:経済力やコミュニケーション力)。
これは自分の実力やスキルに伴うものなのでかなり努力が必要ですね。
2.内的プロセスを最適化する力
•欲求を調整する力(柔軟性を持つこと)。
•物事に価値を見出す力(ポジティブな解釈をすること)。
•負の思考を回避する力(ネガティブな感情にとらわれないこと)。
この2つの力(事実を実現する力と内的プロセスを最適化する力)は、バランスよく高める必要があります。
現実を変える力(事実の力)ばかりに頼ると、達成できなかった場合に不幸を感じやすくなります。
一方で、内的な力(解釈力)を鍛えることで、現実が変わらなくても幸福感を得られる可能性が高まります。
これからはどう解釈をするかを心がけよう!
4.日常生活で幸福力を高める方法
1. 欲求の調整
自分にとって本当に必要なものを見極めましょう。
欲求をシンプルにし、柔軟性を持たせることで、満足感を得やすくなります。
自分にとって必要なものやしたいことなどを一度紙に書き出して、欲求をまとめると良いかもしれません。単純化させることで達成させる難易度が減り、欲求を満たしやすくなるかもしれませんね!
2. ポジティブな解釈を心がける
同じ状況でも、物事をポジティブに捉える習慣を身につけることで、幸福感を感じやすくなります。例えば、困難な出来事にあったとしても成長の機会と捉えることで、ネガティブをポジティブに捉えることができます。
なんでもポジティブ変換するリフレーミングという作業に似ていますね!
3. ネガティブな思考をコントロールする
ストレスや不安を感じたときは、自分の思考を切り替えるスキルを磨きましょう。深呼吸やマインドフルネスを活用するのも効果的です。
ちなみに、マインドフルネスとは、過去の経験や先入観といった雑念に囚われることなく、身体の五感に意識を集中させ、現実をあるがままに知覚して受け入れる心を育む練習のことを言います。
瞑想と同じような感じですね!
4. 小さな成功体験を積む
目標を小さく設定し、達成することで自己効力感を高めます。
これが幸福感につながる基盤となります。
5.結論
幸福力とは、外的な状況だけでなく、内的な視点を最適化する能力を指します。
現代の社会で幸福を感じるためには、事実を変える力と解釈力の両方をバランスよく高めることが重要です。
この記事をきっかけに、ぜひ日常生活の中で幸福力を意識してみてください。
それは、あなた自身の幸福を高める第一歩となるでしょう。