- 2022年6月2日
【理学療法士向け】感覚入力が運動を作り出す?人の運動について考える
今回は感覚と運動についてまとめていきます。 早速ですが、脳のない動物はどうやって動いているのでしょうか? この世には脳が……
普段、働いていると拘縮って言葉は必ず聞くことがあると思います。
よく聞くからこそ、ただ関節が固くなるという簡単な解釈で済ましちゃっていないですか?
関節拘縮は、関節を構成する軟部組織や関節構成体が障害を受けることで、関節の可動域が制限される状態を指します。この状態は、炎症や組織損傷、不動状態が引き金となり、特に外傷や手術後に顕著に現れることが多いです。
本記事では、関節拘縮の解剖学的メカニズムと、理学療法士として取り組むべき予防方法について解説します。
間接拘縮についてもっと詳しくなって、正しく対応し正しく治療していきましょう!
関節拘縮に関与する主な組織は以下の通りです。
• 軟部組織:皮膚、筋肉、腱、靭帯、神経など。これらは癒着や繊維化により滑走性を失い、関節運動を妨げます。
• 関節構成体:関節軟骨、関節包、関節包靭帯など。肥厚や組織の硬化が進むことで、関節そのものの可動性が低下します。
不動や循環障害による浮腫(フィブリン蓄積)が、繊維化や癒着のきっかけとなります。この状態が放置されると、軟部組織の柔軟性が損なわれ、最終的に関節運動障害が不可逆的な状態になる可能性があります。
ラットや犬の膝関節を用いた研究によれば、不動が長期化するほど拘縮は進行します。
• 15〜30日:関節内軟部組織の閉塞、癒着、繊維化が発生。特に膝蓋上嚢などが影響を受けやすい
• 40〜50日:関節軟骨に病変が現れ始める
• 60日以降:関節軟骨が繊維化や潰瘍を起こし、不可逆的な変化に至る
上記のように時間の経過とともに拘縮は変化していきます。
関節軟骨にまで影響を及ぼしていくと、改善させていくことが難しくなってしまうため、可能な限り早めに対応していくことが重要になりますね。
不動期間中、拘縮における主要な責任部位が時間経過に伴い変化する点も注目すべきです。
• 初期(1ヶ月以内):骨格筋の短縮・硬化が主な要因。
• 2〜3ヶ月以降:関節包や靭帯といった関節構成体が拘縮の主要因となります。
拘縮の原因となっている組織は骨格筋が43%と最も高く、責任病巣の中心となっています。最初の1ヶ月は筋肉が主な制限で2〜3ヶ月となると関節構成体が主な制限に変化していくのです。
これらの変化は、治療計画を立てる上で重要な指標となります。
関節拘縮ってどのように改善、予防させていくのでしょうか?
回復実験では30日以内の固定であれば正常に回復するが、40日以上固定された場合は回復が遅くなる、60日となると関節軟骨が破壊されるため回復は期待できないといわれています。
重要なのは繊維化を予防するための徹底した浮腫管理と各組織の機能解剖を考慮した固定部位の選択です。癒着の予防は修復過程に移行するよりいち早く関節運動を開始し、組織間の滑走や伸長刺激を加えることが重要です!
詳しくみていきましょう!
浮腫管理は拘縮の進行を防ぐための最重要項目です。浮腫が放置されると、フィブリン蓄積により癒着や繊維化が促進されます。
そのため、以下の方法が推奨されます:
• 適切な圧迫療法(弾性包帯やストッキング)
• リンパドレナージによる浮腫軽減
• 関節周囲の血流を改善するリハビリ手法(温熱療法、運動療法)
不動期間を短縮し、できるだけ早期に関節運動を開始することが拘縮予防の鍵です。
具体的には:
• 他動運動:不動部位を中心に、慎重に可動域を広げる運動
• 滑走性の保持:関節内外の滑走運動を意識した操作(滑膜や腱の動きを助ける)
適度な運動刺激は、癒着を防ぎながら修復過程を正常化します。
筋や筋膜の滑走を意識しながら、関節を正しい位置で正しい形で運動させていきましょう!
不動が必要な場合でも、各組織の機能解剖を考慮した固定を行うことが重要です。
具体的には:
• 必要最低限の範囲で固定を行い、非影響部位の運動を継続。
• 固定中の可動域を一定範囲で維持するための工夫(例:軽いストレッチングや動的スプリント)。
拘縮予防には、修復過程に入る前の適切なタイミングで刺激を与えることが効果的です。これにより、繊維化の進行を抑え、組織間の滑走性を維持できます。
以下を実践すると効果的です:
• 軟部組織に対する持続的ストレッチ。
• 関節包や靭帯への軽度の伸張刺激。
患者が訴えるわずかな可動域制限や関節の違和感を見逃さず、早期介入を行うことが重要です。
特に手術後や長期不動状態の患者に対しては、経過観察と動作チェックを徹底しましょう。
わずかな対応の遅れが関節拘縮の改善の予後を大きく左右する可能性があるのです。
拘縮の原因や進行状況は患者ごとに異なります。
そのため、個別性の高いアプローチを設計し、以下の点を考慮していくことが重要です。
• 病歴(外傷、手術歴など)。
• 関節拘縮が生じている期間。
• 患者の年齢や日常生活での負担。
ただやみくもにストレッチや関節可動域訓練でアプローチするのではなく、何が原因でどれくらい拘縮が進んでいるのかをしっかり評価し、正しく個別的なアプローチしていきましょう!
関節拘縮は放置すれば生活の質を大きく損なう可能性がありますが、早期の介入と適切な予防策により、その進行を抑制できます。理学療法士として、解剖学的背景と進行メカニズムを理解し、個々の患者に適したアプローチを取ることが重要です。
「動かさないこと」がリスクとなることを患者に説明し、チームとして拘縮予防に取り組んでいきましょう。
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幼少期からサッカーを続ける→身体への興味が湧き理学療法士の道へ→総合病院に勤務→訪問リハビリへ転職|一般の方々の身体についての興味や知識の少なさに驚愕/低給料で十分な学びが得られない→心と身体の一般的な知識の共有、副収入を目的にブログを開設|心身共に健康的な生活を送ることができるような情報と良質な商品の紹介を発信していきたいと思います!●所有資格/理学療法士/JADP認定メンタル心理カウンセラー®︎
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