歩行や走行はできない人がいない運動ですよね?
通常、歩行や走行をするときは何も意識せず、誰かから教わることもせず、自然にできる運動です。
重力が存在する環境下において、身体にさまざまな外力が加わり、身体はその外力を電気変換することで、脊髄からの出力を受け運動しています。
運動は身体が選択していると言っても過言ではないですね。
私たち指導する側としては指導する時の教師信号というものを考える必要があります。
その運動は本当に正しいのかを判断するのは非常に難しいので、少しでも効率が良い運動に変換するために、身体の基本的な知識をもって指導すべきなのです。
指導するときは無理やり運動を変えるのでなく、運動を身体が選択しやすくなるような教師信号を与えるのがベストです。
そんな難しい指導方法ですが、今回は人の歩行という動作の指導方法と運動学習をまとめてみました!

上手く伝わらないと良いラポールも作れないからね!
1.歩行を指導するには教師なし学習が最適!
歩行などの無意識下での運動を運動学習させるには教師なし学習と呼ばれるものが重要です。
教師なし学習とは、出力すべき正解が与えられていないため、課題を繰り返すことで、その多量な記憶と実際の結果を統合していき、法則性を導いていくという学習方法です。
教師あり学習とは逆に出力すべき正解が与えられているため、意図的に運動を作るような形で学習する方法になります。
生物が自律的に行うのは教師なし学習が主だといわれています。
例えば赤ちゃんを思い出してみて下さい。
誰からも教わることなく重力環境下に暴露されるだけで自然に歩いていますよね?
誰から教わることなく、自律的に運動を作っているのです。
これは教師なし学習によって、四つ這いから座位、つかまり立ちなど多大な課題を繰り返しトライ&エラーした結果生まれた法則性に則り運動しているだけなのです。
教師なし学習によって生成された運動は不確定要素への対応力が高くなります。
これは教師あり学習によって作られた運動は、自らの身体が意図的に作った運動であるため、一定の条件がある環境でしか対応できませんが、教師なし学習によって生成された運動はさまざまな課題を繰り返した結果生まれた法則性に則り運動しているため、幅広い環境に対しても対応できるのです。
もし、つまづいたりしても対応することができ、砂利道のようなボコボコした路面であっても転ぶことなく姿勢を制御することができます。
教師なし学習は一見無秩序に見えますが、課題量が多くなることで自然に法則性が成り立ってくるように見えるようです。
そのため、歩行のような無意識下での運動に意識的な運動を織り交ぜる行為(教師あり学習)は今まで法則立ててきた運動(教師なし学習)を崩す可能性があるため注意が必要です。
教師あり学習のようなものは、意識的に使用する上肢運動や、スポーツ障害を引き起こすようなエラー動作を繰り返している子どもたちには有効だと思います。
とにかく、教師信号を変えるだけで運動が変化していくので運動学習は上手く使い分けていく必要がありそうですね。
●歩行を指導するには教師あり学習よりも教師なし学習が最適!
●教師あり学習で作られた運動は一定の条件下でしか対応できないが、教師なし学習によって作られた運動は幅広い環境にん対応することが可能!
●教師あり学習はスポーツ障害、教師なし学習は歩行指導や高齢者への運動指導に使うべき!
●教師信号を上手く使い分けてより良い運動学習を促進させよう!
2.痛みは運動から生まれる ー教師なし学習の使い方ー
痛みというものは身体運動そのものが本来の姿からかけ離れて、結果として様々な障害や痛みが運動によって生み出されています。
そのため、運動が変われば本来の身体の動きに戻っていくので、自然に痛みは消えていくことでしょう!
ここでも運動指導が大切になってきますね。
指導方法を間違えて運動学習にエラーを生じると、その間違った運動によって更に身体が壊れていってしまうことでしょう。
例を紹介しましょう!
変形性膝関節症のo脚で膝の内側に荷重時痛がある患者さんがいるとします。
歩く時にこの場面でここを意識して!
ここでお尻の力を入れて!もっと踏ん張って!
そんな正解を誘導するような教師あり学習の仕方だと、意識的な歩行となり堅苦しい歩行になってしまうので求めていた運動とはかけ離れていくはずです。
部位を規定し、その部位の運動を強要するような指導方法はやめましょう!
少し足の間を空けて2本のレールの上を歩くイメージで歩いてみましょう!
親指の方に体重を載せるようにして歩いてみましょう!
このように正解を与えず、自らの感覚を頼りにして運動学習を促進させられるような教師なし学習を使いましょう!
歩行には流動性が大切で、一部分を切り取るような運動を姿勢として捉えるよりも流れとして問題点を捉えて伝えてあげることが大切です。
変に意識を集中させないような指導方法で運動を指導できるとよいでしょう。
必ず、身体がどう動きたがっているのかを見極める評価の目が大切になってきます。
痛みが生まれる運動の仕組み自体にアプローチすることは手技による施術と融合させることで大きな結果を期待できるようになります。
●部位を規定し、その部位の運動を強要するような指導方法はやめよう!
●流れの中で問題点を捉えられるように指導しよう!
●身体が本当はどのように動きたがっているかを見極めよう!
参考図書はこちら!↓
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