- 2022年6月2日
【理学療法士向け】感覚入力が運動を作り出す?人の運動について考える
今回は感覚と運動についてまとめていきます。 早速ですが、脳のない動物はどうやって動いているのでしょうか? この世には脳が……
今回は林宗駛(はやし むねとし)氏の著書『臨床家のための しんそう療方(基礎編)』についてまとめてみました。
本書は理学療法士をはじめとする臨床家向けに、しんそう療方の基本的な理論と実践方法を解説した一冊です。
皆さんは『しんそう療法』って聞いたことがありましたでしょうか?
しんそう療方とは、簡単に説明すると痛みや機能低下の原因となる「体の歪み」を修正し、健康的な体の形を取り戻すことを目的とした療法です。
他の療法とは異なり、独自のアプローチで骨・筋・神経を本来あるべき位置に整え、左右対称性を重視します。
これにより、体のバランスが整い、自然治癒力や復元力を最大限に引き出すことが可能となるという考え方です。
もし、しんそう療法の考え方や治療の仕方が気になるという方は是非ご覧ください!
しんそう療法とは、先程にも説明がありましたが、
痛みや機能低下の原因となる「体の歪み」を修正し、左右対称性にアプローチをすることで健康的な体の形を取り戻し、自然治癒力や復元力を最大限に引き出すという治療法です。
体の歪みに着目をし、体のバランスを整えることを重視しているわけです。
では何故、体の歪みを修正する必要があるのでしょうか?
まずはそこから確認していきましょう。
体の歪みがある状態とは、基本的な体の形とは逸脱しているため、四肢の機能にも左右差を生じる原因となります。
例えば、右足が硬くなり歪みを生じていると仮定します。
右足の縮みから骨盤は傾き、上体はバランスを保つために骨盤の傾きを補正する方向に傾いていきます。
また、重心は片方に偏るため、重心が傾く片方の筋肉に負荷がかかり続け、片方が発達したり、硬くなったり、上半身では縮んだ方の腹筋が短縮して体幹機能は低下していくことが予測されます。
このように1部分の歪みはやがて全身に影響を与え、より歪みの多い体に変化していくのです。
だからこそ、体の歪みを治療していく必要があるのです。
逆にいえば、身体の1部分の不調を改善させることができれば身体は元々の綺麗な形を取り戻し、身体のあらゆる不調を改善させることができます。
しんそう療法では、『人は何事をするにも手足でもって行う、手足の筋が左右対称に機能すれば脊柱は正中矢状面に支持固定され機能が安定する』という、四肢が左右対称になれば自然に体も左右対称になるという考え方があります。
また、人体という器の形は身も心も健康な時、左右は対称性に美しく、形が変形すると身も心も不調になるのです。
手足の動きに左右差がなく対称性の肢位をしている形が綺麗なとき、何をするにしても身体運動は自由自在に動き、筋骨格系は基本の形で正常に機能する。
どこもやまず、何でも食べられ、消化吸収•排泄も順調、呼吸も安定し血液の循環作用も正常、脊柱も重心線上に支持機能、神経系も健やかであると説明されています。
身体が悪いから歪むのではなく、歪むから身体が悪くなるということです。
このようなことから、体の形をしっかりみていく必要があるといえそうですね。
なかなか面白い考え方ですが、しっくりくる部分があります。
自分自身、色んな方のリハビリをさせてきていただいていますが、手足の硬さを左右均等になるように調整していくと自然に体の傾きが軽減していき、動きにくさや痛みが改善していくことがありました。
生きて動くという基本的な動作は、身体を伸ばす、曲げるなどの力が均等になると中心軸が安定して動くようになります。
コマが回る中心に軸があることで安定して回るように、身体の動きも手足の曲げ伸ばしが左右差なくできることで身体の中心に軸ができて安定するようになります。
安定すれば、身体は動きやすく感じます。
身体の形は身体の動作にまで大きな影響を与えているのです。
そういった経験からもしんそう療法の考え方は信頼のできる面白い考え方であると感じています。
本の中には、しんそう療方の基本概念から具体的な施術手法まで、詳細に解説されています。
特に、体の歪みを検査・評価する方法や、筋反射を利用した修正技術など、臨床現場で即実践できる内容が豊富に含まれています。
また、患者の症状や状態に応じたアプローチ方法も紹介されており、理学療法士が日常の臨床業務で活用できる実践的な知識が得られます。
さらに、しんそう療方の理論的背景として、体の形と健康との関連性や、姿勢の歪みが全身の機能に及ぼす影響についても詳しく述べられています。
これにより、患者の症状の根本原因を理解し、効果的な治療計画を立てるための指針を提供しています。
しんそう療法では『肩関節』『股関節』『膝関節』の3つの関節を重視して評価します。
それが何故かというと、
①体幹を四肢とつなぐ重要な関節であること
②それぞれ人体の中でも重要な関節であり、問題を起こしやすい関節である
からです。
それぞれの関節を以下のように評価していきます。
脊椎の配列を確認して、歪み具合を簡単に確認する
仰向けで両手をバンザイしてもらい、左右差を確認する。肩関節部を介して体幹とのつながりを観察。
仰向けで足を4の字に組んでもらい左右差を確認する。下肢の股関節部を体幹とのつながりを観察。
うつ伏せで自然体で膝を曲げてもらい左右差を確認する。下肢の膝関節部と体幹とのつながりを観察。
簡単に行われる評価は上記の通りです。
それぞれの関節の左右差を確認することで歪みを評価し、治療に繋げていきます。
体の歪みを評価して確認できたら治療を進めていきます。
まず、私達が治療の対象とするのは、直接触動させることができる外受容器『皮膚』『筋組織や腱』『関節』などです。
手足を構成する筋骨格系のシステムに左右差ができると、脊柱における機能や脊髄反射、神経電動路としての機能、感覚受容器の反応などが低下し、効果器に対しても電気信号を正常に受けとれず、効果を出すことができなくなります。
いくら目に見えない神経中枢の解剖を理解して治療として押さえたり揉んだり、物を使ったり器具を使ってみても見ることができない中枢神経系はどうなったか検証できないし、主観や感覚に頼るものになって信頼性は乏しいのです。
私たちが直接触動できるのは外受容器を治療して、操作による体制反射作用を何にどう使って結果どうなるかを確認する必要があります。
つまり、しんそう療法の治療は四肢機能の改善を目的として、筋骨格系を左右対称性の形にすることが何よりも大切です。
外受容器『皮膚』『筋組織や腱』『関節』からの反射作用を賦活し、神経のインターフェイスを正常化させていきましょう。
そこで行われるのが、関節可動域における運動軌道を学習させる運動療法です。
歪んだ関節動作ではなく、ハンドリングで関節を正しい運動軌道で反復させて他動運動を行います。
体は正しい刺激に対して、反射機構は正しい形、基本の肢位にフィードバックするのです。
正常のパターンを学習さていくと、自然に体の形は整っていくのです。
過度な刺激(疼痛や不快感)は体が強く反応してしまうため注意が必要です。
基本的なソフトタッチで優しく治療することが大切みたいです。
もしもっと詳しく治療法を知りたいという方は是非本書を読んでみると良いでしょう!
理学療法士にとって、本書はしんそう療方の基礎を学ぶための必携の書籍であり、患者の痛みや機能障害の根本原因にアプローチするための新たな視点と技術を提供してくれます。
しんそう療方の理論と実践を深く理解し、臨床に応用することで、患者のQOL(生活の質)の向上に寄与できるでしょう!
過去に体の形についての記事を書いているので是非ご覧ください!
【理学療法士向け】人の形が動きを作る!?
身体を形取る筋膜について!これだけは知ってほしい筋膜の知識!
参考文献 林宗駛(はやし むねとし)著 臨床家のための しんそう療方(基礎編)
幼少期からサッカーを続ける→身体への興味が湧き理学療法士の道へ→総合病院に勤務→訪問リハビリへ転職|一般の方々の身体についての興味や知識の少なさに驚愕/低給料で十分な学びが得られない→心と身体の一般的な知識の共有、副収入を目的にブログを開設|心身共に健康的な生活を送ることができるような情報と良質な商品の紹介を発信していきたいと思います!●所有資格/理学療法士/JADP認定メンタル心理カウンセラー®︎
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